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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-9
「その言い方だとまるでうちの一年が確信犯みたいだな」
「違うのか?」
「違うに決まってんだろ、あの子は純粋ないい子なんだよ。おまえと違って」
「純粋ないい子が、あんな風紀の乱し方をするのは放っておいてよかったのか?」
学園の中で不純な交友は禁止されている。それをずっと見て見ぬふりで「かわいがって」いた筆頭が、この男だ。
苛立ちが募ってきている様子を気にすることなく、成瀬は続けた。
「茅野から何回も通告がいってたんだから、もっと早く注意してやったらよかったのに。純粋ないい子だって言うなら。そうしたらそこで終わってた話だった」
「うちの寮におまえが口を出す権利はないだろ」
「俺にはな。でも、楓寮の中でも不満を持ってるやつはいたと思うけど。あれだけ五階で好き放題してたら、少なくとも俺は嫌だな」
呼応するように教室内のどこかしらから上がった失笑に、長峰の顔がかっと赤くなった。楓寮の全員が大騒ぎしているわけがない。声の大きいアルファが目立っているだけだ。あたりまえだ。
寮に在籍しているのは、限られた特別フロアの住人だけでも、一部の特進科の生徒だけでもない。
世間一般の高校に比べてアルファの比率が飛び抜けて高いと言われていようが、それでも、学園の大半を占めているのは、支えているのは、ベータだ。
そのベータを丸無視して、アルファとオメガしか存在しないかのような世界をつくるから、足元をすくわれる。
溝をつくったのは、間違った選抜意識だ。そうしてそういうものは、往々にして歪な秩序を形成し出す。小さな切欠で崩れかないバランスの秩序を。
「だから、こうなったんだろ? 俺じゃない。おまえのせいだ」
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