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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-10
うげ、と篠原がめちゃくちゃに嫌そうな声を上げたが、成瀬は構わなかった。ついでに、これ以上はやめておけというように椅子も蹴られたが。
机についたままだった長峰の腕が怒りでか、小刻みに震えている。その腕が伸びてこようとした瞬間、茅野がうしろからそれを掴んだ。
「煽りすぎだ、成瀬」
かたりばかり諫めるように言ってから、長峰に視線を向ける。
「まぁ、もっともだとは思うが。そのあたりでやめておけ。長峰も」
「茅野」
「文句があるなら俺に言え。提言したのは俺だし、決定するのは寮生委員会だ。寮生委員会に生徒会は不介入。知っているだろう」
「その前提があやしいんだよ。トップがおまえと成瀬の時点で」
腕を振り払いざま、長峰が吐き捨てるようにそう口にする。
「昔から好き勝手ばっかりしてるだろうが。みささぎ祭がいい例だ」
「おまえがどう思おうが勝手だが、俺は規則を破ったことはないからな?」
「主張するところ、そこなんだ」
茅野らしいと言えば茅野らしいが。小さく笑って、成瀬は長峰に向き直った。
「もちろん、俺も会長として規則を破ったことはないつもりだけどな。だから、ほら、『秘密の薔薇結社』もちゃんと承認してやったし。それに」
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