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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-12
「煽り過ぎだと言ったばかりだろう。会長が喧嘩を売ってどうするんだ」
どう出てくるかとちょっと楽しみにしていたくらいだったのに、いっそう呆れた声で茅野に口を挟まれてしまった。
「買っただけだ」
しかたなくそう言って矛を収めると、茅野がわざとらしく肩をすくめた。そうしてから長峰に声をかけ始める。
「長峰も。寮のことで弁明があるなら俺にしろ、ほら。外で聞いてやるから」
言いざま、半ば無理やり長峰の腕を引いてふたりで廊下に出ていく。その背中を見送ってから、篠原がやっと口を開いた。教室内はどこかまだざわめいている。
「おまえ、殴られてやる気満々だったろ」
「そのほうが手っ取り早いだろ」
「あのな」
呆れたというよりは苛立ったふうに篠原が溜息を吐いた。
「というか、いや、まぁ、べつに俺はいいんだけど。っつか、おまえさ」
「なんだよ」
「なに焦ってんの、そんなに」
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