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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-13

「べつに……」  呆れと苛立ちと、そうしてその奥に潜んでいる気遣うような表情。理不尽だとわかっていてももやもやとしたものが抑え切れなくなりそうで、意識していつもの自分の声をつくり出した。  昨日から、――正確にはこの一週間ほど、自分の感情のコントロールが乱れている。自覚できているだけまだまともだと思うしかない。けれど。中等部のころからずっと自分の近くにいた人間は、なかなか誤魔化されてくれないから、だから嫌なのだ。  こいつといい、茅野といい、向原といい。アルファというのは、余計な目端が利く人間ばかりだ。 「潰すなら早いほうがいいだろ」  早いほうがいいに決まっている。だから、目立つところで焚きつけて回っているのだ。  次が来ない保証は、どこにもない。  じっとこちらの顔を見つめていた篠原が、小さく肩をすくめてみせた。これ以上なにかを言ったところで口は割らないと思ったのだろう。 「それはそうかもな」 「そうだろ」 「まぁ、それはそれでいいけど」

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