533 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-14
でも、と篠原が教室にちらりと視線を走らせてから、こう続けた。
「あんまりいつもの調子でふらふらすんなよ」
生徒会室でも似たようなことを言われたなと思ったが、恣意的に敵を増やすのなら気をつけろという忠告だと割り切る。
「だから、いただろ、教室に」
「おまえ、それはあいつらが帰ってくるの待ち構えてだけだろ」
「……」
「おまえが向原が戻ってこないか気にしてた理由、それか」
嫌だ嫌だというような調子に、苦笑がこぼれる。べつに、それだけじゃない。気にしていたのは本当だ。
余計な手出しはされたくない。とはいえ、これ以上向こうを苛立たせたくもない。
自分の中のプライドのせめぎ合いのようなそれに、けれど正しく名前を付けるとしたら、「負い目」になるのかもしれないとも思う。
そう、向原には、負い目がある。
ともだちにシェアしよう!