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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-15

 茅野に滾々と諭されたからではない。茅野が言っていたことは間違ってはいないのだろうと思うことはできる。いかにもあいつの言いそうな正論だなとも思う。  けれど、それだけだ。理解はできても、納得はできない。  それでも「負い目」だと感じているのは、ことごとくタイミングが悪かったな、とは思っているからだ。  面倒をかけたな、とも。  ――まぁ、タイミングが悪いのなんて昔からだけどな。  そう、昔から、なぜか現れてほしくないと思うときに限って、あの男は姿を現すのだ。  五年前のときもそうだった。あいつがいなければ、気づかなければ、――あんな、なんの意味もない約束を交わさなければ、こんなことにはならなかった。 「なぁ、おまえ、利害の一致とかなんとか言ってたけど、……喧嘩やめたんだよ、な?」  いかにも恐る恐るというふうな問いかけに、あっさりと頷いてみせる。 「あぁ、うん」 「なんだ、だよな。よかった……」 「怒ってると思うよ」

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