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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-18

 本当に、そうありたかったと思う。自分にはないものをすべて持っている男。成瀬は向原のことをずっとそう思っていた。  自分が望まれて、成しえなかったもの。自分にはそうとしか思えないのに、茅野も、篠原も、そんなことはないだろうと、まるで諭すかのように何度も何度も言い続けてくる。  正直、それがたまらなかった。アルファだとかそういうことではなく、一個人を見てやれと言われているみたいで。  ――そんなことが言えるのは、おまえらが同じだからだろ。  でも、俺はそうじゃない。  ささくれた感情を持て余したまま、うんざりと息を吐く。鐘は鳴ったはずだが、教室内はあいかわらず空席が目立っていた。  その、なんでも持っている男の席もそうだ。まぁ、もともとよく姿をくらましていたから、珍しいということでもないのだが。  無意識に視線を向けていた自分にまた苛立ってしまった。よけいなことは考えたくない。少なくとも、今はまだ。  あいつが、なにを求めているのかなんて。俺は知りたくもないし、考えたくもない。

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