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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-3

 やっぱり入ってきてよかった。皓太はおのれの判断を自賛した。すべてを水城のせいにするつもりはないが、そういう垣根が去年より下がっているように感じるのも、また事実だった。  そういう垣根。見つからなければ寮の中でも楽しんでいいのではないかという、それ。  櫻寮は茅野が目を光らせているからそういった事態が起きていないというだけで、楓だけでなくほかの寮でも風紀の乱れを指摘する声は実は出ているのだ。   「でも、そろそろ戻ろうかな」 「そうだね。明日もあるし」  示し合わせたように頷いて、四谷たちがソファーから立ち上がる。それに着いて出て行こうとしたタイミングで、ひょこりと荻原が顔をのぞかせた。その手には点呼の記録簿が握られている。 「あ、みんな。そろそろ部屋戻ってよー。点呼とるよ」  明るい声で、奥にいたクラスメイトに呼びかけている。 「寮則はきちんと守りましょうねっていう話があったばかりだからね。今破ると寮長直々にお説教あるかもよ」 「……タイミング悪」  ぼそりとした四谷の声に、「え?」と荻原が首を傾げた。 「タイミング悪いってなにが? なんか盛り上がってたの? まぁ、でも続きは明日に――……、って、また緊急総会の話? 部外者には話せないって言ったじゃん」  呼びかけられたほうに視線を移した荻原が、困ったような笑みを浮かべてみせた。

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