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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-4

「機密ってやつです。まぁ、でも、張り出してあったとおりだよ? 度重なる風紀の乱れを適正に対処しなかったっていうなら、解任理由としてはしかたないんじゃないかな」 「またそれかよ。そうやって寮生委員会が生徒会と結託して、ハルちゃんの妙な噂流し回って。かわいそうだろ」  荻原に目で問われて、苦笑いで皓太は頷いた。さっきも四谷に似たようなことを言っていたし、そういうことだ。  今、「ハルちゃん」を巡る派閥は複数に分かれつつある。  ひとつがあの会長に向かって堂々と宣戦布告をした「ハルちゃん」をトップへと祀り上げようとしている派閥。  もうひとつが変わらず「ハルちゃんは天使のように純粋無垢」だと信じこんでいる、あの現場を見ていなかった生徒たちの派閥。  このクラスメイトたちは、頑ななまでに「ハルちゃんは楓寮で噂になっているようなことはしていない」と信じている。つまり、なにを言っても無駄。  皓太も生徒会に所属しているおかげで何度も絡まれたが、寮生委員会所属の荻原も似たような目に合ってきたに違いない。  げんなりとした態度を精いっぱいの笑みで隠して、荻原が懐柔にかかり始めた。 「えー……と、その、だからね? べつに寮生委員会は噂なんて流してないし、そもそも、ちゃんとした証拠がなかったら、処分は下りないからね?」

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