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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-7

 そうしてそんなことは、成瀬なら百も承知なはずで――。 「こら、なにを夜遅くに騒いでるんだ。もう点呼の時間は過ぎてるぞ」  急に背後から響いた声に、皓太はぎょっとして振り返った。 「茅野さん」  本当にこの人、神出鬼没だな。前に榛名も言ってたけど。談話室の入り口付近にいた一年生たちが寮長の登場に、軒並みバツの悪い顔になっている。 「高藤。おまえもな、寮生委員じゃなくなった途端にそう我関せずと静観しなくてもいいだろう」 「……すみません」 「谷戸、三ツ橋、有岡も。べつに喧嘩をするなとは言わないけどな。時間と場所を考えろ。最近ちょっと目に付くぞ」  さすがに三人とも茅野には反論しなかったが、不服そうな表情は残っていて。その態度に、茅野が小さく肩をすくめてみせた。 「べつに俺に言い訳はしなくてもいいが、ひとつだけ言っておく。今回の寮生委員会の決定は正当な手続きの上でのことだぞ。全会一致の判断だ。むろん、楓寮の寮長も自分の非を認めている」

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