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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-9

「あいつが変えなかったら、この学園は権力と暴力が支配するアルファの楽園のままだった。名門とは名ばかりのな。それをあいつが変えたんだ。言葉と力でな」  もう誰も反論しようとはしていなかった。静まり返った場に、茅野の声だけが響き渡る。 「そうじゃなかったら、こんな今はなかった。俺は誰がどう言おうとそれだけが事実だと思っている。今の学園を作り上げたのは成瀬で、それを壊す資格はあんな子どもにはない」  あんな子どもと言い切った言葉の強さに、皓太はほんの少し驚いた。成瀬もだが、茅野がそんなふうに誰かを――しかも年少の人間を、だ――糾弾する言い方を選ぶ人では本来はないからだ。  ――本当に、潰す気なんだ。  この人たちはそう決めたのだということを痛感した気分だった。 「きれいな側ばかりを享受し、泥を被ろうともしない人間に、上に立つ資格はないと、俺は思う」 「でも、そんなことは……っ」  水城を非難されることが許しがたかったのか、とうとうひとりが声を上げようとした。けれど、茅野はそれも最後まで言わせようとしなかった。  ここまで「話を聞く気はない」という態度をこの人が取るところも、はじめて見たかもしれない。

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