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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-10

「ここの寮長は俺だが、俺はどこぞのハルちゃんのように、俺の意見にみんなを従わせるつもりもないし、洗脳するつもりもない。だが、俺は寮長だからな。すべての寮生が安心して生活を送ることができる空間を提供し守る義務がある。そして、そのなかで優先すべき順序もある」  だから、と改めて茅野は語気を強めた。その視線は談話室の奥へとまっすぐに突き刺さっている。 「頼むから俺に退寮者を出させてくれるなよ。俺は被害者と加害者が存在すれば、躊躇なく加害者を追い出すぞ。害を加える者にどんな言い分があるかなどは知らん。結果がすべてだ。当たり前のことだから、承知してくれているとは思うがな。そのことだけは胆に銘じておいてくれ」  おまえがどう思ってるかは知らないが、あいつは昔から強硬な会長派だぞ。そう呆れた顔で本尾が言ってきたとき、意外だと思ったことを覚えている。そんなふうには思っていなかったからだ。  けれど、今になって納得した。たしかに、強硬な会長派だ。疑いようもないほどに。 「と、やたら説教臭くなってしまったな。まぁ、いいか。説教ついでだ。ほら、そこの三人と荻原、ちょっと来い。今なら俺の話を聞くだけで反省文は免除してやろう」  先ほどとは打って変わった軽い、いつもの調子でそう言って、茅野が振り返った。

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