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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-12

「あぁ、……まぁ、そうか。そうだよな」 「でも、べつにいいけどね、俺は」  神妙な顔にさせてしまったとでも思ったのか、四谷が場違いなほど明るく言い放った。 「俺もあのハルちゃんが好きってわけじゃないし」 「それはおまえが高藤派だからってだけだろ」  廊下から飛んだ揶揄にも、四谷は毅然と言い返した。 「それがなに?」 「いや、なにって……」 「そもそもとして、今まで会長たちがつくってきたこの学園で不利益を感じたことは、俺はないからね。オメガだアルファだなんて、ベータの俺には遠い世界の話だよ」 「……まぁ、それを言われると、俺もベータだからあれだけど」  そこまで言われるとは想像していなかったのだろう。バツが悪そうにからかってきた同級生が、そう口にする。その言葉に引きずられるようにして、ちらほらと賛同する声が上がり始める。 「たしかにそうだよな。あの人たち、少なくとも表面上はアルファだオメガだ言わないもんな」 「慣れ過ぎて当たり前になってたけど、思い出した。中等部に入ったとき、俺ちょっと感動したんだったわ。陵はアルファの巣窟だって聞いてたから、俺らベータに人権なんてないんじゃないかってビビってたこと」 「わかる。だからこそ、会長の祝辞でちょっと安心したんだよなぁ」

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