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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-13

 俺だって、そうだ。  言葉には出さなかったが、そう思ってしまった。あの人がいて、一番安心したのは、まちがいなく自分だっただろうとも思っている。  昔から、なんでもできる人だった。それでいて誰かを悪く言ったり、見下したりするようなことは絶対にしない人だった。  そんな彼が上に立つ学園は、安全な場所だと信じて疑いもしなかった。そうして、そのぬるま湯に浸かり続けていた。  でも。 「そろそろ点呼取るから、部屋戻って。今ならぜんぶセーフにするから」  いつもと同じ調子を取り繕って、皓太はまだ話したりなさそうな集団に声をかけた。  やばい、戻らなきゃ、と明るく笑って、四谷が先陣を切った。そのあとに続くようにして、寮生が各自の部屋へと戻っていく。  ドアが閉まっていく音を聞くともなしに聞きながら、皓太は小さく息を吐いた。  それにしても、本当に榛名がいなくてよかった。あの調子だったら、茅野がだいぶ締め上げてくれそうだし、そうすれば、きっと――……。 「おもしろいほうに付く、か」  それは、篠原が言っていたことだった。生徒会室で嫌そうに、そう言っていた。  身も蓋もないことだけどな、と前置きながら。  人間は、おもしろいほうに付くんだよ、と。

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