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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-14
おもしろいほう、とした篠原の表現は、冷静に考えればわかりすぎるほどわかる。あのときは、苛立ちと焦燥のほうが勝ってしまったけれど。
代わり映えのない現状よりも、新勢力のほうがおもしろい。既存のアルファよりも、オメガのほうがおもしろい。強いものより、強きに歯向か応答する弱者のほうが。
あたりまえのことだった。
そうして、そのあたりまえだった流れを変えるために、成瀬はあの噂を存分に目立つ場所で利用した。
――本当、転んでもただでは起きない人だよな。まぁ、知ってたけど。
そういう人だと思っていたから、榛名にああ言ってみせたのだ。少しでも榛名の心労を取ってやりたかったというほうが正しいかもしれないが。
どちらにしろ、もうひとつ言ったとおりで、自分が介入できることでもない、とも皓太は思っている。どれだけ馬鹿らしかろうが、猿芝居でしかなかろうが、知らないふりを貫き通すだけだ。
たぶん、そうであるうちは、あの人はあの人でいることができる。
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