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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-17

「よかったね、向原さんが戻ってきて」 「どうして?」  そう尋ねた成瀬の顔も、やはりある意味で見慣れた笑顔だったのだけれど、シールドを張り巡らされたこともわかってしまった。伊達に長年見てきていないのだ。  本当に、良くも悪くもプライドの高い、面倒な人だと思う。だからこそ、一緒にいて安心できる相手がいてくれたらいいと思うし、それは、この人にとって庇護の対象である自分たちではないのだろうとも思っている。 「だって、そうしたらちょっとは楽になるでしょ」  あくまでも生徒会が、という体で皓太は続けた。 「篠原さん、ちょっと死にかけてたし」 「あいつは今までがサボり過ぎだっただけ。まぁ、でも、そうだな。向原はそのあたりもうまいから楽にはなるかもな」 「うん」  頷いてから、皓太は口火を切った。言おうか言うまいか、呼び止めてからも悩んでいたことを、伝えるために。 「昔から知ってたんだけど、言ってもいい?」 「なに?」 「祥くんは強いね。ひとりでなんでもできる」

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