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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-18

 お世辞でも発破でもなく、本当に思っていたことだ。昔から、誰のお手本にでもなれるような人だったから。  家が厳しいから、ということもあっただろうけれど、そういう性分なのだろうなと思っていた。榛名から秘密を打ち明けられるまでは。  今まで自分が純粋に「すごい」と思ってみていたこの人は、なんだったのだろうと考えたら、ぞっとした。  アルファであれと言われ、そのとおりを歩んできた道に、この人の意志はあったのだろうか、と。それはこの人の人生だったのだろうか、と。  余計なお世話でしかないのだろうともわかっていたけれど。 「でも、強くなくてもいいんじゃないかなって思うよ。榛名を見てると、特に」  あの同室者も、昔は、なんでもひとりでやれるのだという顔をしていた。と言っても、成瀬のように完成されたものではなく、ただ自分の殻に頑なに籠っているというふうだった。そんなふうだから親しい友人なんてひとりもいなくて、誰にも心を開いていなかった。  ひとりで平気なそぶりを貫くことが強いということなら、たぶんその当時のほうが強かったのだろう。でも、今は違う。 「強いけど弱くて、弱くても強い」

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