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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 3-19

 自分はアルファだから、第二の性をなにがなんでも隠さないといけないとした気持ちは完全にはわからない。その秘密が表に出たことはいいことばかりではないとも思う。でも、それを知った上でフォローしてくれる味方がいる現状は孤独からは程遠いものだと思っている。  秘密を共有する自分の存在が、少しでも力になっていればいいとも勝手ながら願ってしまっているけれど。  でも、そうやって生きていくものだと皓太は思っている。アルファだとか、オメガだとか、そういうことではなくて、同じひとりの人間として。 「ひとりでなんでもできても、ひとりで生きていくことはできないんじゃないかな。そんなこと、俺に言われなくてもわかってるんだろうけど」  自分が伝えることができるのは、このくらいだ。じっと見つめていると、黙って話を聞いていた成瀬がふっと小さくほほえんだ。  しかたないなというようなそれに、無理だったかと皓太にも苦笑いが浮かぶ。半ばわかっていたことではあった。けれど、それでも、届けばいいなとも思っていた。

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