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パーフェクト・ワールド・レインⅢ-9
「ちなみに、いつからなの? この間、皓太が言ってた部屋の鍵の話のあたりから?」
「うん。……いや、正確にはそのちょっと後くらいから、かな。でも、聞いてないなら、ごめん。余計な心配かけさせちゃったな」
「それは全然良いけど。行人のことなら、気にはなるし」
自分より水城と同学年である行人の方が受けている影響は大きいだろうことは想像に難くない。
「皓太が嫌じゃなかったら、俺から一回、訊いてみようか」
問いかけに、皓太が微かに眉を寄せた。「その言い方、ずるい」
「相談に来た時点で、俺が意地張れないって分かってるくせに」
「皓太はそのあたり、しっかりと判断できるから。良いことだと思うけど。自分一人で大丈夫って頑なになって取りこぼす心配がないってことだし」
無理やり聞き出すと言う手段を選ぶ気すらない姿勢は美徳だと思う。ついでにお節介で言えば、行人が秘密を打ち明けたとしても、誠実に受け止めるのではないかとも考えているのだけれど。
――まぁ、でも、その判断は俺がどうのこうのと口出す問題ではないな。
「ちなみに、話を聞いたとして、俺に教えてくれるつもりはあるの?」
「必要だったら、皓太に話した方が良いって伝えるよ。まぁ、そもそもとして俺に打ち明けてくれたらの話ではあるけど」
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