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パーフェクト・ワールド・レインⅢ-11
微かに尖った皓太の声に、目を凝らす。確かに色素の薄い頭が人影の中からちらちらと見えて。
良く分かったな、と応じるより先に、今度は行人の声が飛び込んできた。
「返せよ!」
その響きに、瞬時に皓太と目を見合わせる。
「俺が見て来る」
任せようとして、――止めた。
「いや、俺が行くよ」
寄りにもよってのタイミングで階段から降りて来る姿が眼に入る。風紀が昼休みまで見回りに精を出していると言うのは本当だったらしい。
「そんなところで、何を揉めてるんだ」
割って入る形になった成瀬の声に、人垣が崩れる。中心に残ったのは、良く見知った少年と、ある意味で最近良く見るようになった顔で。
「成瀬さん」
バツの悪そうな呟きに、小さく微笑みかける。その顔色は、揉めていたと言うことを差し置いても、確かに良くはない。
「どうした、行人」
「いや、その……」
逡巡しているらしい様子を確認して、そこで成瀬はゆっくりともう一人の当事者に視線を移した。依怙贔屓をしている自覚は十二分にある。
「行人がどうかした? 水城くん」
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