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パーフェクト・ワールド・レインⅢ-12

「僕は、……あの、でも、きっと僕が、榛名くんの気に入らないことをしてしまったのかと」  長い睫を震わせた少年を庇うように、一人が前に出てくる。おそらくはアルファ。 「榛名が急にこっちに向かってきたんですよ。ハルちゃ……水城は何もしてません」  取り巻きの背に隠れて俯いた水城に、成瀬は穏やかに突き付けた。その伏せた顔の下で、一体どんな表情をしているのかと思いながら。 「じゃあ、今じゃなくて、以前に何かしたんじゃないの?」 「それは、どう言う意味ですか」 「行人は、理由もなく誰かに向かって行ったりしないよ」  その言葉に、視界の端で、行人の肩が微かに揺れる。静かに言い切った成瀬に、取り巻きの少年たちが口を噤んで。一瞬生まれた静寂を破ったのは、水城の小さな声だった。 「っ、ひどい……」  上がった面は弱弱しい風情だったけれど、潤んだ瞳の奥は、その印象を裏切っていた。 「ひどいです、僕……僕は」 「現に、さっき行人は『返せ』って言っていたみたいだけど」  聞こえてきた事実を告げると、気を取り直したらしい取り巻きの少年たちが、やれ勘違いだ、言いがかりだと眉をつり上げている。 「勘違いだとしても、行人一人に、きみたち数人がかりと言うのはどうかとも思うけど」 

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