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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 4-4
「向原」
追いかけてきた声に、足を止めて振り返る。
「べつに、それこそおまえが戻ってくるって高を括ってたってわけじゃないんだけど」
本心か見せかけかはさておき、申し訳なさそうに告げられたそれに、「知ってる」とだけ向原は応じた。
戻ってくると思っていたというよりは、言明しないほうが成瀬にとって都合がよかっただけだということも。
自分があえて否定して回らないと踏んでいたのだろうということも。
扉一枚隔てた生徒会室からは、皓太を取りなしている篠原の声が漏れ聞こえていた。
「そうだよな。でも、ありがと」
ちらりとその扉のほうに目をやってから、なんでもない顔で成瀬がほほえむ。
「篠原もだけど、皓太も安心したみたいだし。俺も、ここにいるみんなは好きだし。やっぱり安心できる場所じゃないとな」
「そういう白々しいことは茅野に言ってやれよ。喜ぶだろ」
「白々しいって。嘘じゃないつもりだけど、半分くらいは」
思いきり場所を選んで呼び止めておいて、よく言えるなとは思ったが、それについては指摘しなかった。
揉めたときに止めることができる相手が近くにいる、密室ではない空間。そういう場所を常に選ぶくらいの警戒心は持ってしかるべきだ。
「茅野といえば、言ってた」
「え? 茅野がなに」
「次に寮則破ってみろ、寮長権限で高藤と部屋割り入れ替えてやる、だって」
「……」
「榛名と一緒にするのが、あいつは一番悪さがしづらいだろうからな、とも言ってたけど、どう思う?」
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