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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 4-5

 気がつかれていないとでも思っていたのだろうか。それとも、気づかれても言及はされないと思っていたのか。  頭の痛そうな顔で「あの問題児め」と唸っていた寮長は、次があれば即座に強権を発動しかねない雰囲気だったのだが。 「ちなみに柏木は、繰り返すようなら、もういっそ外鍵でも付けたらどうだって言ってたけど。さすがにそれは問題があるって茅野が止めてた。よかったな」 「まぁ、茅野は、そういうところ四角四面だから」 「そうだな。それで、なにしてたんだ?」  にこりとほほえみかけると、成瀬が黙り込んだ。下手な誤魔化し方をするとより一層面倒なことになると踏んだに違いない。  だから、気にせずに、向原は追い打ちをかけた。 「言ったよな? おまえの勝手を受け入れてやる代わりに、最低限、俺が聞いたことに対してくらい誠意を持って答えろよって。おまえには難しすぎたか?」 「……言ってたな」  いかにも渋々といった頷き方だった。聞いたことは認める、と言わんばかりの。 「あのな。でも」 「皓太に知られたくないよな、おまえは。おまえがなにをどう言って俺を脅したのか」  反論に被せるようにしてそう言えば、返事までに少し間が空いた。なにをどう言えば効果があるのか。わかっているのは、お互い様にちがない。

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