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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 4-10

 おまえが見てないところで手ぇ出しても、おもしろくもなんともねぇだろ。  そう笑った、あの男の声が耳に残っていた。  夜になって、柊の寮にまでやってきた向原に「来ると思った」とも嘯きながら。本尾は完全に事態を面白がっていて、けれど同時に呆れているようでもあった。 「本当に、おまえはあいつがらみのときだけわかりやすいよな」  そういえば、みささぎ祭のあとにも似たようなことを言われたのだった。あのときは、風紀委員会室だったが。肯定も否定もしないままでいると、本尾が嘲るように笑った。 「そんなにオメガってのは、いいもんなのか?」  まったく理解できないと言ったあとに続いたのは、どこか責めるような響きを帯びていた。 「あのお姫様にいいように利用されてるアルファも馬鹿だ馬鹿だと思っちゃいたが、おまえも同じだったわけだ」 「いいかどうか知りたかったら、試してみたらよかっただろ」 「おまえが見てないところで手ぇ出しても、おもしろくもなんともない」  はっきりと言い切って、本尾が目を細める。 「よかったな、俺がこういう性格で」

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