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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 4-12

 まぁ、たしかにあの破れかぶれ具合は相当だったな。  頭に浮かんでいたのは、件の一年ではないほうの顔だったが。思い出すとまた腹が立ってきそうだったが、おくびにも出さないまま頷く。 「まぁ、そうかもな」 「そうだろ。自信満々の人間がプライドを粉砕されたときもそうだしな。それで、あのお姫様はどっちの素質もばっちりだ」  知ったふうな総括だったが、異論はなかった。水城と成瀬は壊滅的に合わない。それは向原も幾度となく感じていたことだった。  けれど、あれは単純に性格の話だけではない。水城は、同じオメガの人間が、アルファもベータもオメガも平等だとする世界をつくったことが気に食わなかったのだろう。同じようなことを考えていたらしい本尾が、ふっと笑った。 「まぁ、それだけってわけじゃないだろうが」  今度は、向原は答えなかった。気にするでもなく、本尾はさらりと言ってのけた。 「俺は、その爆発には期待してるんだ」

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