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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 4-13

 ――爆発、か。  十分にありうるだろうなとわかるからこそ、面倒だった。面倒だから、そうならないように適当に相手をしてやっていたのに。  茅野に言われなくても、あの新入生が自分に気があったことくらい知っている。強いアルファを欲していただけだろうということも。そのすべてをわかっていて利用しようとしていたのだから、どうでもいいことではあるのだが。  入学式の日の朝、あの新入生を見たとき、ここは変わるだろうとわかった。漠然とした予感なんてものではなく、事実として。  気味の悪いくらい第二の性を排除したこの世界に、第二の性を――オメガ性を見せびらかすように主張する存在が現れて、荒れないわけがない。  それでも、成瀬にどうにかする気があれば、多少で済むはずだった。それがこれほどまでのことになったのは、成瀬にその気がなかったからだ。  そうして、どうにかする気をなかなか見せなかったのは、きっと――水城がオメガだったからだと、向原は思っている。

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