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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 5-3
「まぁ、今までどおりの好き放題が寮でできなくなったわけでしょ。ストレス溜まってもおかしくないと思うけど」
「……今までがおかしかったんだろ?」
「うん。そうだと俺は思うけどね」
俺は、と強調されたような気がして、行人は首を傾げた。俺は、もなにも、そうだったのではないだろうか。その反応にか、高藤が苦笑気味に言い足す。
「実際ね、そういう話も聞いてはいたから、そうだとは思うけどね。まぁ、直接見たわけではないからってだけで」
「そういう話?」
「うん。まぁ、ただの噂だけどね。その前に、そもそもの話なんだけど、水城の好き放題を許してた、というか、好き放題させてたのはさ、寮を管理する側の上級生のアルファに恩恵があったからでしょ?」
そう言われて、頷く。言われてみれば、たしかにそうだ。櫻寮に置き換えて考えてみればあたりまえで、茅野が許さなければそんな事態は起こりようがないのだった。陰で好き勝手をやり続けるというのは、無理がある。
「だから、そりゃ、関係のないベータとか、……アルファでも篠原さんみたいに関わりたくないって人もいただろうし、そういう人からしたら、好き放題やってるのは、おもしろくはなかったんじゃないかな」
篠原さん、前に夜くらい静かにしてくれってかなり苛々してたこともあるし、と高藤が言う。その図は想像にたやすかった。
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