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パーフェクト・ワールド・レインⅣ-2

 ――水城、ねぇ。  長くてもあと半年。黙ってやり過ごしてくれるつもりならば、こちらも放っておいてやるのに、と。思っていたのは本当だったのだが。  つい先日、篠原がぼやいていた楓寮での喜劇を思い出して、眉間に皺が寄る。 「それこそ、おまえが抗議しろよ。そもそもとして、みささぎ祭でおまえが喧嘩売ったのが一端だろうが」 「いや、まぁ、俺がやって効果があるならそれで良いんだがな。おまえがやるのが一番効果がある気がして」  面倒くさい方向に転がりそうな気配に、茅野に視線を向ける。その隣で成瀬が苦笑を噛んでいるのが分かって、ろくでもなさそうだなと悟る。 「噂と実情から察するに、どうも、おまえ狙いらしくてな」 「断る」 「そう、一刀両断しなくても良いだろう。俺は好みではないが、あの顔だぞ? ちょっとくらい可愛がってやろうとかは思わないのか?」 「それはそれで別の意味に聞こえるな」  いかにも他人事の顔で成瀬は笑っていたが、冗談じゃない。面倒くさい。 「まぁ、冗談はさておくが。水城が問題なことには変わりなくてな。だが、あいつが指導できるような悪さをしているわけじゃないということも問題で」  つまり、今回も誰が侵入したかと言う確固たる証拠はないと言うわけだ。分かり切っている謎を解くように、茅野が続けた。 「あいつは、何がしたいんだとおまえは思う?」

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