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パーフェクト・ワールド・レインⅣ-3
その言葉に、ちらりと成瀬を見遣る。
――あと半年が待てない理由の一端、ではあるだろうな、こいつが。
早い話が気に喰わないのだろう。本能で、同じオメガであるこの男が。
そしてそれは、もしかすると成瀬も同じなのかもしれない。
何でもかんでも一人で背負い込み、平気でやってのけてしまうことを信条にしているだろう男の吐いた弱音が脳裏を過る。
ついでに、その際に吐かれた似非臭い言葉も。
――友達。友達、ねぇ。
だが、そう言わせることを許しているのが自分だとも理解しているので、なんとも言えない。結局、ぶつけどころのない苛立ちを持て余すだけだ。
「知るかよ、俺が」
「おいおい、向原」
「でも、まぁ、現状を維持したいって言うなら、その手助けくらいならしてやれるけど」
我関せずの顔で話に入ってこない成瀬に視線を向ける。
「おまえはどうしたいんだよ」
好きなようにしたら良い、と告げた先の答えをまだ貰ってはいない。それをここで強請ったのは、質を取りたかったのかもしれない。
向原にしか分からない程度で、成瀬がバツが悪そうに笑った。
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