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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 5-17
「今はまだあれなんですけど、聞きたいこととか、話したいこととか、いろいろあって」
「うん」
まっすぐに見つめたまま、「だから」と行人は言い募った。
「その、……いつか、ちゃんと話せるようになったら、言ってもいいですか」
「もちろん」
自分がいつか言いたいなにかの内容は、きっと成瀬はわかっていたと思う。それでも、変わらなかった。いつもと同じ、なにひとつ気負いのない笑顔。
でも、そういう人で、そういうところも好きだった。態度にぶれがないという人は、憧れるし好きだ。だって、それは余裕があって、強くて優しい人だとわかるからだ。余裕がなくて、すぐに苛々してしまう自分とは正反対で、そういうふうになれたらいいなと思ってもいた。
だから、行人もできるかぎり彼に向けるいつもどおりの顔で「おやすみなさい」と見送った。
――よかったんだよな、これで。
ひとりに戻った食堂で、自分自身に言い聞かせるように、行人は内心で呟いた。
四谷に聞いたことを質問できるわけもなかったし、それに――まだ覚悟はついていないけれど、約束もできた。
だから、これでよかったのだ。胸の奥に残る鈍い痛みには気がつかないふりで、行人はもう一度そう言い聞かせた。
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