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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 6-9

「純粋に疑問なんだが、同じ教室なのに別々に戻ってくるほうが、やましいことをしているように見えると思わないのか?」 「昼休みのこと?」  言葉のとおりの理解できないという顔に、苦笑いになってしまった。談話室の机に、読みかけだった本を置く。  五階にある談話室は、基本的にいつも静かだ。特に、夜は。ひとりきりだった空間に我が物顔で入ってきた茅野が、そのまま向かいの席を引いた。  教室に戻ってきたときもそんなふうな顔をしていたが、気にかかっていたらしい。 「そうだ。なにも、あそこまでこそこそとしなくてもいいだろうに。加賀はそんなに長峰の目が気になるのか」  まぁ、茅野から見たら、そう見えるかもな。自分に自信のない気弱な人間の思考回路は、このアルファの男には理解できないだろう。  そうわかっていたから、成瀬は適当に受け流すことを選んだ。 「しかたないだろ。楓とうちの今の状況だと、さすがに俺とふたりきりのところを見られたくはないんじゃない?」  なにを話していたのかと探られたくないから人目を避けたいとした考えは、成瀬にはよくわかる。  自分の意志で会っているのなら堂々としていたらいいの一言で、茅野は切り捨てることができるのかもしれないが、ベータに同じことを求めるのは酷だろう。  加賀は、上昇志向が強いわけでもなんでもない、ただのベータだ。

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