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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 6-13

「あ、そのあとにも一応、一回は謝ったよ。俺が悪かったなって思ってる部分もあるから」 「……それで?」 「言いすぎた、悪かったって言ったら、それを言うなら、聞かせる気のないことを聞かせて悪かっただろ、って言われた」  あれは、けっこう怒ってたなぁ、とも思った。そのあとのやりとりも含めて。そして腹の立つことに、あいつの言うことは、なにひとつ間違ってはいない。強者の正論、という表現が一番似合うような気がする。それをさも当然とこちらにも求めるところを含めて。  昔から、そうだ。  はは、と成瀬は小さく笑った。 「本当、あいつに嘘通じないんだよな。嫌になる。まぁ、昔からだけど」 「吐かなければいいだろう」 「なに? まだ俺がそんなふうに見えんの?」  誠実そうだとか、優しそうだとか。聞き飽きるくらいに小さいころから言われてきた言葉だ。そうではないことは、さすがに知っているとは思うのだが。 「そういう話じゃなくてだな」  頭の痛そうな顔で、茅野が首を振った。 「嘘が通じない相手だからこそ、良好な関係を築けるだとか、そういった前向きな捉え方をできないのか。そういう意味では、あいつは誠実だろう」 「そうかな」  どうなんだろうな、と思ってみたものの、答えは決まっていた。きっと、そうなのだろう。あいつは、俺とは違う。

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