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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-1
[7]
「なんでもかんでもひとりでできるつもりでいると、おまえも二年後ああなるぞ」
ああ、というのが誰のことを指しているのかわかって、皓太は苦笑いを浮かべた。その当人は会議で少し前から席を外している。
やりかけていた事務手続きの手を止めて、机のそばにやってきていた向原を見上げる。
「いや、……さすがになるつもりはないんですけど」
「なら、七割くらいでやめとけ。ぜんぶやるから、やれるって思われるんだ。篠原くらいの抜き方がちょうどいい」
「向原さん」
今まで一度もされたことがなかったわけではないが、聞いてもいないのに積極的に教えてもらったことはあまりない。それとも、思わず助言をしたくなるような顔を自分がしていたのか。
そうじゃないといいんだけど、と思いながら、問いかける。
「もしかして、ちょっとくらい俺に悪かったなって思ってくれてるんですか?」
「あいつよりはな」
だったら、もうちょっと生徒会室にいるときの空気を良くしてほしい。いや、まぁ、べつに、この人も幼馴染みもいつもどおりと言えばいつもどおりなのだが。
――いつもどおりすぎて逆に怖いっていうのはなぁ。
さすがに言えない、というか、一蹴される未来しか見えないから、言う気になれない。
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