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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-2
篠原は成瀬と一緒に出て行ったから、今生徒会室にいるのは自分たちだけだ。少しくらい話を振ってみてもいいかもしれない、と皓太は思い直した。幼馴染みが自分に甘いことは承知しているし、その延長のようにして篠原もよく気にかけてくれているが、向原もそうなのだ。
榛名には信じられないという顔をされるのだが。
「成瀬さんには言わなかったんですか、それ」
「無駄だろ」
「無駄って」
自分の言うことならともかく、この人の言うことなら多少は聞くのではないかと思ったのだが。向原はふっと小さく笑っただけだった。
「あいつのあれは、他人を信用してないんだ。他人を頼る気がない、でもいいけどな。だからぜんぶ自分でやってるだけだ。なるなよ」
「……なりません」
想定していた以上に辛辣だったが、そういうところあるよなぁ、と思ってしまう内容だったので、再度苦笑いで頷くことしかできなかった。
話の入り方の選択肢を間違えたかもしれない。
「あの……」
「本当、信じらんねぇ、こいつ!」
気を取り直して話しかけようとした声と、生徒会室の扉の開く乱雑な音が被った。
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