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パーフェクト・ワールド・レインⅤ-1
[5]
勿論、行人の判断に任せるけど。そう前置いて、成瀬は緊張気味の面持ちで腰かけていた後輩に話しかけた。
「皓太に話すのは難しい?」
「俺の……性のことですか」
固くなった声に、申し訳ないとは思ったけれど、仕方がない。多少、状況が変わった。
部屋に呼んで事情を聴かなくても、大まかには予想はできていた。水城が何を思って、この子の部屋に入ったのか。
そして、あの場で行人が口にできないもの、となれば、指し示すところは一つだ。
「俺が言うのもなんだけど、皓太は信用できると思うし」
「それは、そうだと思いますけど」
「それに、隠し続けるのが難しくなってくるころじゃないかな」
ひどいことを言っているとは自覚している。けれど、行人はぎこちない笑みを浮かべただけで。
「まだ来てなくても、いつ来てもおかしくないだろ? そのときに、同室者が味方だった方が、……行人にとっても良いと思う」
平均的な年齢で言えば、発情期が来ていてもおかしくはない。だが、おそらく行人は「まだ」だ。ついでに言えば、ここ最近の学園の乱れでフェロモンのバランスが崩れて遅れていたそれがやってきたとしても不思議はない。
――こんな生々しい話を行人もされたくはないだろうけど。
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