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パーフェクト・ワールド・レインⅤ-2
「俺は高等部に入って間もないですけど」
「うん」
「それでも、今のここがちょっとおかしいのは分かります。おかしいと言うと、すみません。成瀬さんに失礼かもしれないですけど」
「あぁ、そんなこと」
気にする必要は一切ないと笑った成瀬に、行人も微かに笑みを乗せた。
「成瀬さんが心配してくれてるのも分かってます。ありがとうございます」
「うん」
「高藤が良いヤツだってことも知ってます。分かってます、でも」
そこで一度、行人は言葉を切った。
「だからこそ言いたくないです」
無理強いをするようなことではない、と言ったのは本心だ。けれど、自分が言えば頷くのではないかと思っていたのも、ある意味では本心で。
そもそもとして、自分が彼に何も明かしていない時点で言えた義理はないと分かってもいるが、その方が何かと利便が良いには違いない。
――俺と違って、あと三年あるんだし。むしろ。
そこまで考えて、それ以上はさすがにお節介だなと口を噤む。皓太は行人にある一定以上の好意を持っているだろうし、行人もそうだろう。
それならば、と。安定を願うのは勝手な親心のようなものだとも分かっているのだけれど。
自分が手を出して何とかしてやれる期限が切れる前に、バトンを受け渡したかったのかもしれない。
「――成瀬さん?」
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