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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-6
なんとなく嫌な予感がして、もう一度向原のほうに視線を向ける。篠原との会話を聞いているのかいないのかわからない、いつもどおりの淡々とした態度で、ファイルを繰っている。
そう。基本的には、ふたりともいつもどおりなのだ。ただ、成瀬は成瀬でごくたまにではあるけれど、導火線が短いときがあるような気がするし、向原は向原で――。
「なら、もっとわかりやすく庇ってやろうか?」
一瞬だったが、成瀬の顔から笑みが消えたのがわかって、うわ、と皓太は内心で首をすくめた。普段との落差も相まって、目が怖い。
先だっての水城との一件の時のように、いかにもアルファらしい威圧的な表情を見せることも、ないわけではない。ただそれはあくまでも、そうすべきだと判断したときにしているだけであって、――つまり、こういう怒りの感情の片鱗を見せることはそうないのだ。
特に、自分がそばにいるときは。
――やっぱり、本気できてるよな、これ。
ということは、よくよくわかったが、自分になにができるとも思えない。いつだったか、成瀬が本尾と揉めている場面に遭遇したことがあったけれど、あのときの数倍は嫌だ。
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