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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-7

「向原」  そう呼びかけてほほえんだ成瀬の表情は一見いつもどおりだったのだが、にじむ空気がちょっと怖いような気がした。そう感じてしまう基盤ができあがっていたせいかもしれない。 「俺がいるって言うと思ってる?」  うわ、こわ。「せい」じゃなかった、と自身の前言を撤回する。そうして傍観体制に入っていた篠原に、必死に目で訴える。  巻き込まれたくない気持ちは痛いほどわかるが、これ以上ブリザードが吹き荒れないうちにどうにかしてほしい。  攻防を経て、篠原がしかたないというふうに頷いた。「成瀬」と声をかけてくれたことに、ひとまずほっとする。呆れた上に、嫌そうな声ではあったが。 「なに……」 「皓太」  指差されて、皓太はとってつけたような愛想笑いを張り付けた。成瀬の視線が自分のほうに動いたからだ。  目が合った顔に、気まずげなほほえむが浮かぶ。これも珍しいと言えば、珍しいものだった。 「あの、成瀬さ……」 「あー……、ごめん」 「あー……、ごめん」 「いや、あの、……どうかしたんですか?」  その、会議でなにかあったとか。当たり障りのなさそうなところをかいつまんだつもりだったのだが、にこりとした笑みに遮られてしまった。

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