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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-10
「なんだ、聞いていたのか」
立ち聞きしていたことを咎めるでもなく、あっさりと茅野はそう言った。
点呼を押し付けられた日のことだ。寮生委員をやっていたときは定期的に茅野の部屋を訪れていたから、人目をはばかる話ができていた。
生徒会に所属が代わって以降、こういった機会がなくなっていたから、尋ねるにはちょうどいいタイミングだったのだ。
あの日のことを、結局まだ聞けていなかったから。
「その、……立ち聞きするつもりはなかったんですけど、すみません。声をかけづらくて」
しようと思ってしたわけではなかったのだが、上級生の部屋の前で立ち聞きをしてしまったことは事実だ。
「謝ることはない。というか、入れんだろう。逆の立場だったら、俺は頼まれても入りたくはない」
しかたないとばかりに苦笑で返されて、曖昧に頷く。榛名が気にしていたから「様子を見てくる」と言って部屋を出たものの、見れずじまいだったのだ。
まさか、あんな話をしているなんて、思ってもいなかった。榛名には、「忙しそうだったから話せなかった」でお茶を濁したのだけれど。
「今日も悪かったな、押し付けて」
「ああ、いえ、それは、……むしろすみませんでした。俺たちで収めれなくて」
「気にしなくていい。俺も言っておきたかったから、ちょうどよかったんだ。正直少し目に余っていたしな」
なんでもないふうにそう笑って、茅野は話を戻した。
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