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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 7-14

 それはそうとしても、少しは安心するだろう、とも言ってもらったのだが、意外だという感想は抜けきらなかった。  茅野の言うとおりなら、たしかに安心できるような気もするけれど。 「まぁ、なんだ。おまえに対してはさすがにしないと思うが、あの夜以来、アルファとは密室でふたりきりにならないを徹底してるな。自衛というよりは、俺はおまえたちとは違う、という抗議のように見えなくもないが」 「……はぁ」 「そうやって警戒してみせるわりには、ほいほいと出て行くしな」  呆れたようなそれに、思わず「あ」と声がもれる。その反応に、ちらりと茅野が目を向けた。 「やはり当てつけかもしれんな。安心していいと言ったのを撤回するのは心苦しいが。なんだ、高藤。寮長である俺に進言しておきたいことでもあるのか」 「あ、……ええと、その」 「べつに隠さなくていい」  口ごもった態度が気の毒にでもなったのか、わかっているというふうに頷かれてしまった。 「おまえがこの時間まで来なかったということは、成瀬あたりにそそのかされたからだろう。が、そんな会話は廊下からは聞こえなかった。ということは階段より下だ。つまり、下りて行ったんだろう」

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