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パーフェクト・ワールド・レインⅤ-5
「まぁ、成瀬だって、何も好き好んでここを戦場にする気はないだろ」
なぁ、と取り成す篠原の声に曖昧に応じて、手にしていた申請書を保留の箱に突っ込む。そう言えば、結局、向原の問いにずっと答えていないなと思いながら。
「悪い。ちょっと出て来る」
断って、席を立つ。水城春弥がトップに立ったら。それはまだ恐らく遠い未来だ。けれど、行人や皓太たちにとっては、確実に近づいてくる現実だ。
――行人か。
この数日、真面に顔を見ていない。避けられているのは間違いがないが、どの面を下げて自分から会いに行けば良いのかともさすがに思ってはいる。
何もない顔で笑ってみせることが正解だとは分かっているが、さすがに、あの最後の一線と言った表情を見た後では、やりづらい。
すべてを正直にさらしてくれたあの子に向けるものが嘘ばかりと言うのは、いくら成瀬でも罪悪感くらい抱く。
とは言え、このまま放っておくわけにもいかない。
特に行くあてもなく生徒会室を出てきたが、一度、寮に戻って、後輩に会いに行こうか。
決めて、生徒会室の扉から背を離し、歩き出そうとした瞬間だった。意外な声が飛び込んできたのは。
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