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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ Φ-1
[φ]
アルファなんてものよりも、力のないオメガのほうが、ずっとずっと嫌いだった。
なにもしなくても、いつか運命のつがいが救いにきてくれるのだと信じている馬鹿なオメガが、死ぬほど嫌いだった。
だって、そんなこと、あるわけがないのだから。
この学園に入ってからは、同じくらい、恵まれた生まれのオメガにも腹立ちを覚えるようにもなったけれど。
「――え? どうして?」
目を瞬かせると、ごめんね、ハルちゃん、とその上級生は眉を下げた。表面だけはいかにも申し訳なさそうに。
蒸し暑い風が、呼び出した校舎裏に吹き抜けていく。
この二年生はベータだけれど、普通科ではなぜか人望があるようだったから、わざわざこうして自ら声をかけたのだ。
「俺はそれには署名できないよ。会長には感謝してるから」
「どうして、ですか」
「ベータを排除しようとしなかったからかな」
申し訳なさそうな色を残したまま、その人がほほえむ。
「生徒会に嫌なことをされた記憶もないしね。そういう意味で、あの人たちは公平だよ」
「僕は、公平じゃない?」
「どうだろう。ごめんね」
ぎゅっと手に力が入って、紙面に波が打った。なんで、ベータなんかにこき下ろされないといけないんだ。
なにも持てなかった、最下層のくせに。
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