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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 8-3

「あの、それは……」 「それは、なんだよ」  細い声で絞り出そうとした弁明は、面白そうに遮られてしまった。 「あいつのせいじゃないって言うなら、おまえがその顔で泣いて強請ったのか? 追い出してくださいって」  その台詞に、行人は完全に固まってしまった。  怖かったのだ。あの夜も、自分はなにもしていないのに、あの人たちはそんなふうなことを勝手に言って。勝手に――。  ――誰も、好きでこんな顔になんか、オメガになんか、生まれてきていないのに。  そう思った瞬間、年上のアルファに絡まれている恐怖に、ひしひしと悔しさがにじみ始めていた。  なんで、そんなことを、よく知りもしない人に言われないといけないんだ。きっと睨み上げた瞬間、わざとらしいくらいの明るい声が割り込んできた。 「榛名、ちょっといい?」  はっとして振り向いた先にいたのは、同室者だった。教室の注目をものともせず、中に入り込んで近づいてくる。  特進科に在籍するアルファである高藤は、行人のクラスでも有名な存在だった。  あんなすごい人が同室者だなんて羨ましい、という台詞を、入学してからの数週間で行人は何度も聞かされていた。  知っているのは、その上級生も同じだったのか、驚いたふうでもなく高藤に声をかけている。

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