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パーフェクト・ワールド・レインⅤ-7
俺も直に現場を見たわけじゃないんだ、と皓太は言った。六時間目を終えた皓太の教室に、四谷が血相を変えて飛び込んできて耳打ちをしたのだと。
「すげぇ顔色が悪そうだったらしくて、四谷が見かねて保健室に連れて行ってやろうとしたらしいんだけど」
顔色が悪いと言う情報に、抱いていた嫌な予感がより嫌な方向に膨らむ。
「と言うか、ここ数日、あいつ本当に調子が悪そうではあったんだけど。例によって俺が何を言ったところで寮の医務室になんて行かねぇし、片頭痛持ちなのも知ってるし、それが酷いだけなのかなとも思ったりして。……まぁ、つまり、放っておいたんだけど」
「それで?」
「あぁ、いや、だから」
駄目だな、と呟いて、皓太が頭を振る。これも珍しいことだが、相当に気が急いているらしかった。
「その途中でふらりと倒れかけたらしくて、その時に手を出してくれた人を跳ね除けて騒ぎになったらしいんだけど。あいつ、人に触れられるの嫌いだから、それだけで深い意味はなかったんだと思うんだけど」
「そこに風紀が来たって?」
「でも、空気がおかしかったんだって四谷が言うんだ。向かう場所もおかしいって。風紀だけじゃなくて、集まってきた人の雰囲気がなんと言うか妙で」
微かに言い淀んで、そして感情を断ち切るように告げる。
「四谷が言ってたんだけど。香水の比じゃない甘い匂いがしたって。榛名はオメガなのかって、そう、聞かれた」
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