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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 8-7

「このあいだ、水城、うちのクラスにも来てたよ」 「え?」 「なんか、すげぇ機嫌良さそうだったけど」 「機嫌がいい?」  そこで高藤が不思議そうに首を傾げた。参考書から顔を上げて、行人のほうに目を向ける。 「機嫌いいって、水城が?」  二度も繰り返されて、自分が首を傾げることになってしまった。戸惑いながらも頷く。だって、行人の目にはそうとしか見えなかったのだ。 「うん。そう思ったけど……」  そもそもとして、行人のクラスにはほとんどアルファはいない。いるはいるけれど、特進科に配属されなかった成績の――水城から見れば、たぶん下のアルファだ。  水城は、そういうふうに、人をランク付けして見ているところがあるように思う。あいつはアルファだから、というふうに思ってしまっている時点で、自分も同じ穴の貉なのだろうが、それはさておいて。 「だって、アルファだけじゃなくて、ベータのやつらにもやたら愛想よく話しかけてたし」  べつに、いつもが、ことさらベータにきつくあたっている、というわけではない。ベータに対してもにこやかな笑みは浮かべている。ただ自分から話しかけるのも、話しかけることを許すのもアルファだけだ、というだけのことで。  そのことに気がついていた四谷が、「なに、あれ」と嫌そうな顔を隠さなかったことで、行人も異変に気がついた、というわけだったのだけれど。

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