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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 8-12

「俺だったら、もっと怒るよ。というか、すごい腹は立った。でも、おまえが原因をつくった水城を責めないのに俺が責めるのもどうかなと思ったから、なにも言わなかっただけで」 「……そう、だったんだ?」  怒ってたとは、知らなかった。いや、水城のこと嫌いなんだな、そこまではっきり誰かを嫌うなんて珍しいな、いや、まぁ、でも、性格的にも静かに過ごしたかったんだろうに、それを邪魔されたら嫌にはなるよな、と思ってはいたけれど。 「うん。そうだったよ。成瀬さんもそうだな。べつに、水城に対して怒ってたって感じではなかったけど」 「え」 「このあいだのことを言ってるなら、あれはああいう演出をしただけだと思うよ。感情的な部分で怒ってはなかった」  そうなんだ、と行人は半ばひとりごちるように呟いた。高藤がそう言うのなら、きっとそうなのだろうし、ちょっと安心もした。  年上だから、ということもあるのだろうけれど、あの人が感情的になっているところなんて見たことがなかったから。  行人にとって、成瀬はそういう人だった。様子を窺うように行人を見つめていた高藤が、ふっと小さく笑った。 「俺は、べつにいい人じゃないから、これからすることに個人的な感情も混じってるのかもしれない」 「あたりまえだろ、そんなの」 「そうかもしれないんだけど。でも、それは俺の問題で、榛名のせいじゃないから。それも先に言っておきたくて」  その言いように、おまえのせいじゃない、と言われたことがあったことを思い出した。成瀬と似た調子で。

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