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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 9-5

「もし、高藤くんが申請した同好会だったら、ちゃんと手厚く生徒会が手配してくれたのかもしれないけど。そういうふうに思えてしまう現状がある時点で、やっぱりおかしいよね」 「おかしいもなにも」  受け答えする自分の声に苛立ちが混ざり始めているのを自覚しながらも、皓太はできる限り穏やかに否定した。 「それ、ぜんぶ水城の主観でしょ」 「そうだと思うよ。でも、高藤くんが言っていることも、高藤くんの主観だよね。こんなこと言い出したら、ぜんぶ水掛け論になっちゃうような気もするけど」  だから、と水城が笑みを深くする。 「どちらが正しいのかを証明するために、僕は署名を集めてるんだよ」  それも、わからないわけではなかった。水城の言っていることは一見正しいようにも思える。  皓太だって、自分の主張のすべてが正しいとは思っていない。水城のことも苦手なタイプだとは思っていたし、関わりたくないと思ってはいたけれど、嫌っていたわけでも、否定したいわけでもなかった。  あの日までは。 「生徒会長だからって、学園全体を自分の好きなように動かしていいわけじゃないよね。僕はやっぱりそれは、すごく勝手で傲慢ことだと思って――」 「ごめん」  延々と続きそうだった台詞を、皓太は遮った。わからなくはない。説明しろと言ったのも自分だ。でも。

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