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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 9-9
「それって、榛名くんのことだよね。でも結果として僕はよかったと思うけど。中等部のときなら、もしかしたらできたのかもしれないけど、この年で隠し続けるなんて無理だよ」
荻原くんにはわからないかもしれないけど、隠そうとするのは、すごくしんどいことなんだよ、と水城は眉をひそめた。
それはきっとそうなんだろう。自分は成瀬に言われるまで気づいてやれなかったけれど。
荻原が代わってくれてよかった、と落ち着いてきた心で皓太は思った。もしかすると、もともと少し苛立っていたのだろうか。こんなふうに自分があっさりと煽られそうになるとは思っていなかった。
「ハルちゃんの言うとおり、それがどれだけしんどいのか俺にはわからないけど。でも、そのしんどい思いをしてでも隠したかったっていうのが、すべてだと思うんだよ」
「しんどい思いをしてでも?」
「そう。ハルちゃんなら、それがどれだけしんどいことなのかもわかるよね。それで、――それなのに、みんなで寄ってたかって暴こうとするのは、やっぱりよくないと思う」
滾々と言い諭す調子で、荻原は続けた。
「ぜんぶ知らないと仲良くできないなんてこと、ないよね。それなのに、高等部に入ってから、そんな噂ばっかりで。正直ちょっと息が詰まる」
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