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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 9-10
「荻原くんは、いい人なんだね」
にこ、とそこで水城がほほえんだ。
「高藤くんも一緒。本性は、結局そっち。表面だけじゃなくて優しいんだね。すごく立派だと思うよ。いかにも模範的なアルファって感じ」
櫻寮ってそんな感じの人が多いよね。寮長が恣意的に選んでるのかな。試すようにそんなふうなことを言う水城の目はひとつも笑っていなかった。
「でも、つまんないな」
らしくない水城の物言いに、戸惑ったような空気が教室に流れる。けれど、水城は気にしたそぶりは見せなかった。そうして、水城のそばによくいた取り巻きたちにも驚いたような雰囲気はない。これが水城なのだと知っていたかのように。
「僕ね、人の本性を見るのが好きなんだ」
「本性?」
そう聞き返すと、うん、と水城はいっそ無邪気と評したくなる笑顔で頷いた。
「普段穏やかな人が、実はすごく冷酷だったり、アルファだと思っていた人が、実はオメガだったり。そういうのって、知れば知るほどぞくぞくするし、すごく楽しい」
「楽しいか?」
「楽しいよ。僕と話しているうちにどんどん苛々していく様子を見るのも楽しい。それが普段、いかにも自分はまともなんだっていう顔をしている人だとなおさら」
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