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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 9-13
次って、なんだよ。挑発しているとわかっていたも、無反応を貫けなかった。眉を顰めると、ふっと水城が笑った。「やだなぁ」
「勘違いしないでほしいな。僕はなにもしてないよ、あのときも、これからもね。まぁ、僕に気に入られたくて、僕のために勝手に動く人はいるかもしれないけど。でも、それは僕のせいじゃないよね」
――取られたってこと? 水城に。
そう尋ねたとき、成瀬は最後まで否とも応とも言わなかった。だから、わかった。あの騒動の引き金を引いたのは、この同級生だったのだと。
そのせいで、あいつがどんな目に遭ったと思ってるんだ。それでも、皓太はどうにか苦笑してみせた。これ以上、おおごとにしたくなかったのだ。
「僕のせいじゃないって」
「そうだよ、僕はなにも頼んでない。でも、そうだな。じゃあ、高藤くん、もし、僕がね、次があったらおもしろいなぁって思ってたとして。その僕の希望を勝手に叶えようとする人がいたらどうする――」
水城の声が、中途半端に途切れる。荻原に制止するように肩を掴まれて、皓太は自分が水城の胸倉を掴んでいたことに気がついた。あいだに挟まれた机が揺れる。間近で見下ろした瞳には、恐れも焦りもいっさいがなかった。唇が笑みのかたちに歪む。
「オメガの僕に、アルファのきみが暴力を振るうの?」
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